資料保管室

米国国立公文書館(以下、公文書館と記します)には膨大な資料が保管されています。90億ページにも及ぶ文書、7百万の地図・チャート・図、2千万以上の写真、36万の映像フィルムと、11万のビデオテープがあるとパンフレットに書かれています。過去には国家機密となった資料も、機密事項が解かれ、公文書館で公開されると、誰でも請求すればアクセスできるようになります。最近では、公文書館が「ペンタゴンペーパーズ」と呼ばれる、ベトナム戦争に関する米国政府の極秘資料を公開し、話題となりました。http://www.archives.gov/research/pentagon-papers/

 

ただ、公文書館における全ての資料にアクセスできる訳ではありません。膨大な数の中でも、特に貴重とされる資料は保管室で保存され、一般には公開不可能の資料も存在します。職員に聞いたところ、日本に開国要求したマシュー・ペリー提督の遠征日記や、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺時のライフルやジャッキー・ケネディ夫人の着ていた血のついたドレスが保管室にあるそうです。保管室は、書類が湿気で痛むことのないように一定の温度が保たれ、また火事への対処も万全です。保管室に入ることが出来るのは、公文書館の中でも極限られた上級職職員のみであり、そのドアのアクセスコードも頻繁に変えられ、入るためには何重もの手順を踏まなければならないそうです。

 

この保管室にある資料の一つに、日本の降伏文書があります。1945年9月2日、戦艦ミズーリ号上における降伏文書調印式で、日本側代表の重光葵外相、梅津美治郎参謀総長によって署名された文書です。下記の公文書館のサイトでその一部を見ることができます。

http://www.archives.gov/exhibits/featured_documents/japanese_surrender_document/

 

歴史調査に携わっている者として原文を見たいという思いもあります。しかし公開されてしまうと資料が痛んでしまうことを考えると、貴重な資料は今のまま大切に保存され、未来の世代に引き継がれていくことが最も大切なのだと納得しています。(HK)

 

(公文書館主催のツアーでは、書庫の一部を見ることが出来、貴重資料の保管室前までは行くことができます。ツアーについては下記のサイトに情報が載っています。)

http://www.archives.gov/dc-metro/visit/tours-college-park.html