U.S Military’s Uniforms ~ユニフォームが出来上がるまで~

世界中のあらゆる分野で使用されている制服には色々な意味が込められています。例えば会社で使用する制服は、その会社やお店のコンセプトに合ったスタイルを選んだり、ロゴを刺繍したりします。学生服であればその学校の象徴であるカラーを取り入れる学校も多くあるかと思います。制服を着用するという事は、学校でも会社でもその組織に所属しているという事が一目瞭然で外部の人達に分かるという意味でとても大切であり、特に小さい頃から制服を着用する習慣のある日本人にはとてもなじみのあるものなのではないでしょうか。

 

制服といえば軍服もその一種で、アメリカ軍は大きく分けて4つのブランチ(Army, Navy, Air Force, Marine Corps)に別れており、各ブランチ事に着用されている軍服は異なります。彼らが着用する軍服とは正装服だけではなく、カモフラージュ柄の迷彩服やトレーニング時に着用するものなどいくつかのものを様々な状況に応じて使い分けています。軍服に関連するブログを書きたいと思い、アメリカ軍のユニフォーム事情についてナショナルアーカイブスでいくつかの資料を閲覧しました。今回Armyの軍服が出来上がるまでの過程が分かる資料が出てきましたので紹介したいと思います。

 

「Army Field Forces」は主に各地のキャンプ地の気候やその地の特性に合わせて制服を定めていく任務を担っている部署です。彼らが認定するのは単に制服だけに限っておらずヘルメット、ブーツや手袋などもEquipmentとして丹念に認定していきます。彼らが最終的に制服を認定するまでには、5段階のテストと会議が重ねられて慎重に制服の選定・認定を行っていきます。寒い気候の地や雪が多い地で着用するものには兵士が外で凍えて任務を正確に果たせないような事が起こらないように、またジャングル地帯や暑い気候の地域で任務を行う兵士たちには、彼らが暑さでバテテしまう事がないようになど、色々な想定を考えた上で1段階目のテスト「Early Test」を始めます。このテストを行うのは特定の部隊ではなく、テストの気候条件に合ったCamp地の部隊に「Army Field Forces

からランダムに申請され行われます。ここで着用した制服に問題がないという結果であっても二段階目の「Service Test」が行われた上で「Final Report」が作成されます。

 


Service Test of Covers, Helmet, Camouflage OFFICE, CHIEF OF ARMY FIELD FORCES, Adjutant General’s Section, Communications & Records Div. Decimal File 1954, RG 337 Entry NM5 56 Box 829; National Archives at College Park 上の2枚

 

ファイナルリポートという名称だけを聞くとこれが最終段階と思ってしまうのですが、このファイナルリポートを元に次の段階の「Check Test

が行われ、そこで問題なく全てのチェックリストをクリアできれば「Army Final Approval」という名称の正式な文書が作成され、その地にあった制服が認定されるという流れです。

 

Army Field Forces Board Nr 3, Report of Project Nr 2630, Check Test of Intermediate Layer (Cold-Dry Uniform)(DA Project7-79-02-007) [2 of 3], OFFICE, CHIEF OF ARMY FIELD FORCES, Adjutant General’s Section, Communications & Records Div. Decimal File 1954, RG 337 Entry NM5 56 Box 829; National Archives at College Park 

 

トレーニング時に着用する制服の選定・認定は最も慎重に行われるという事です。

 

一つの制服が認定されるまでには、着用する兵士一人ひとりが安心して任務を行なえる事を考えながら、いくつもの過程を経て正式な制服として認定される事を知りました。

また、メインの軍服には各ブランチによって色々なコンセプトが盛り込まれ、「軍服」といった花形のような印象もありますが、今回紹介した資料に出てくるような細かい部分にまで気を使う部署があるという事を知れたのはとても良い機会であり、改めて資料の貴重さを思い知らされました。(MJ)