WAR DOGS

2018年(平成30年)が幕を開けて早くも1ヶ月が経ちました。今年の干支は戌ですね。そこで、犬に因んだ関係資料を調べてみました。

 

最近でも、その優れた嗅覚からがんの有無の判定ができる『がん探知犬』としての医療の最先端に貢献する犬の話題や、2012年には犬好きで知られるロシアのプーチン大統領に東日本大震災の復興支援への返礼として日本から秋田犬が贈られるなどの外交としても活躍してくれている話題など、犬に関してのニュースも見聞きします。

 

さて、ここアメリカ国立公文書館には、アメリカ海兵隊資料の中に『Dog Service Record Books』という資料があります。これは、戦争で使用されたWar Dog(軍犬又は軍用犬)について纏めた資料です。このシリーズは1942年から1945年までの記録で、全11箱あります。各々の犬のデータが通し番号付きの一冊の手帳になっており、892頭のWar Dogが登録されています。War Dogと言うとドーベルマン種の様な犬を想像しますし、確かに殆どがその種類になるのですが、今回は、それ以外で目に留まった2頭の手帳をご紹介したいと思います。

 

こちらは「BUTCH」の手帳です。ジャーマンシェパードのオス犬で当時3歳でした。1944年3月31日から1947年3月17日の除隊までの記録がされています。その内容は、飼い主との誓約書やトレーニング内容、配属場所などが記載されています。

 



RG127 Record of the U.S.M.C. (Entry: UD-WW 100) Dog Service record Books, 1942-45. Marine Corps Dogs Serial Number 327 through 407 Box5 Serial No. 396 National Archives College Park, College Park, MD

 

下のProfessional Historyでは、あの激しい硫黄島の戦いのあった1945年2月から3月の時期にグアムから硫黄島に上陸していたことが記されています。また、1946年5月から10月にかけては、アメリカ大統領の警備犬のメンバーとしての任務も果たしていたようです。とても優れた犬であったことが分かります。

 

RG127 Record of the U.S.M.C. (Entry: UD-WW 100) Dog Service record Books, 1942-45. Marine Corps Dogs Serial Number 327 through 407 Box5 Serial No. 396 National Archives College Park, College Park, MD

 

任期を終えたBUTCHは、持ち主の希望通り、オーナーに戻された事、とても優秀で名犬であったことが記載されています。

 

RG127 Record of the U.S.M.C. (Entry: UD-WW 100) Dog Service record Books, 1942-45. Marine Corps Dogs Serial Number 327 through 407 Box5 Serial No. 396 National Archives College Park, College Park, MD

 

2頭目は「BETTY」です。BETTYはテリア種のエアデール テリアのメス犬です。臆病で気弱なため、War Dogには不適切と判断されています。BETTYだけではなく、ここにファイルされているエアデール テリアは同じように戦争には不向きな犬とされています。

 



RG127 Record of the U.S.M.C. (Entry: UD-WW 100) Dog Service record Books, 1942-45. Marine Corps Dogs Serial Number 77 through 152 Box2 Serial No. 121 National Archives College Park, College Park, MD

 

犬は、人間(飼い主)に忠実で社会性があり、親しみ深い動物です。いつの時代もいろいろな場面で私たちを助けてくれていることを思いました。(IT)