第 66回硫黄島米国退役軍人リユニオン(記念会)&シンポジウムが、2011年2月17日から21日までバージニア州アーリントンで開催されました。私たちニチマイスタッフ三名はシンポジウムに参加させて頂きました。硫黄島米軍退役軍人や家族及び遺族、歴史家など合わせて120名ほどの方々が出席されていました。硫黄島の調査を始めてから二年経ったものの、今までに硫黄島退役軍人の方には一人しかお会いしたことがなかったのですが、今回たくさんの退役軍人の方々から直接お話を聞かせていただける貴重な機会を得ることができました。
シンポジウムの行なわれた2月19日は硫黄島の戦いが始まった日であり、硫黄島関係者にとって特別な意味をもつ日でした。硫黄島の戦いでは、米軍側も多くの負傷者を出しており、死者6,800人以上、負傷者19,000人以上となっています。
米軍退役軍人の方々は、私達日本人参加者をどのように思うのだろうかと不安を抱えながらの参加でしたが、意外にも「こんにちは」などと知っている日本語で挨拶をしてくれたり、気さくにお話をして下さる方々が多かったことは嬉しいことでした。シンポジウムにおいては、硫黄島上陸前の攻撃、硫黄島の日本軍の防御、米軍の上陸線の概要、現在の海兵隊を取り巻く情勢、退役軍人の戦争体験とその後についてのプレゼンテーションがあり、最後に四人の退役軍人によるパネルディスカッションがありました。
一番胸をうたれたのは、陸軍航空軍に所属し、硫黄島空爆に関わった退役軍人の方のお話でした。彼の息子さんは日本で仕事をし、日本人女性と結婚をしています。初めて息子さんの結婚の意志を聞いた時、憎き敵だった日本人を家族に迎えるのは許しがたいものであったようです。しかし日本を訪れ、日本という国を知り、また、元日本兵だったその女性の父親と数時間にわたり戦闘体験を語り合い、理解しあう中で、考え方が変わり、結婚を許したとのことです。戦後長い間、二度と日本へなんて行きたくないと思っていたそうですが、今では何回も日本を訪れ、日本とアメリカの平和を強く望んでいます。
退役軍人一人ひとりの体験は違いますし、戦争の捉らえ方も違います。その方々から実際の戦地での体験記やその後のお話を聞くことは、硫黄島の戦いを理解するうえで大切なことです。ともすれば、紙に書かれていることだけの理解、知識になってしまいがちですが、今回のシンポジウムを通じて、初めて知ったことも多く勉強になりました。今後、いろいろな角度からもっと深く学んでいく必要性を感じました。(NM)