捕虜関連資料を読んで

ニチマイの一員として米国国立公文書館で仕事を始めて、約一ヶ月が経ちました。資料調査のお手伝いなども始めて、いくつかの資料に目を通すことができました。そのうちの一つは、太平洋戦争の際に米国の捕虜となった日本人の捕虜リストです。

 

その中で特に印象に残っているのは、沖縄県出身の少年でした。 16歳の時に沖縄で捕らえられハワイの収容所にいたようです。写真も保存されていて、まだ少年というか子どものように写っていました。当時のことで今の時代の日本人とは体格が違い、身長157センチ、体重47キロで体も小さい少年でした。いったい、捕らえられてその後どうなったのでしょうか? あまりに若いこと、写真の幼い印象が重なって心配になってしまいましたが、調査を進めていくうちに、その少年が無事に家族の元に戻ることができた、ということが分かりほっと胸をなでおろしました。

そのいきさつが少し妙なのですが、少年の家族はハワイのホノルル在住、でも少年は沖縄生まれで現住所も沖縄であると言っていたそうです。 少年がハワイの収容所にいた時に、ホノルルの家族が少年に会いに来ていた、という記録もありました。 どういう経緯でそうなったのかは知ることができませんでしたが、どうも少年が生れて4年後にホノルルの移民局で米国市民権を取得した、ということが判明し家族の元に戻されたようです。 

 

もう一人、気になった人がいるので少し紹介してみたいと思います。 収容所で、米兵にさからったり言うことを聞かなかったりして、罰せられた記録も資料の中にはあります。 この人はどうも不器用だったのでしょうか、食事の下ごしらえのためじゃがいもを切っていたところ、そのじゃがいものいくつかを床に落としてしまったらしいです。 しかも何度か同じようなことをしているようで、食べ物を粗末にしたという理由で罰せられ、その罰は3日間パンと水のみ、ということ。自分もとても不器用なので、もし戦争で米軍の捕虜となっていたら、この人と同じ目にあうのが明らかです。 平和な時代に過ごせて良かったなあ、とつくづく思います。(MU)