今年のアジア学会(Association for Asian Studies)は、3月27日から3月30日までの日程でペンシルバニア州のフィラデルフィアで開かれました。
フィラデルフィアは歴史がある街で、一時はアメリカ合衆国の首都でもありました。 今でも全米では大都市の一つですが、規模は小さく落ち着いた所です。 1993年にトム・ハンクスとデンゼル・ワシントンが共演した「フィラデルフィア」という映画を思い起こす方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アメリカは日本と比べると、歴史的な名所・旧跡が少ないのですが、ここフィラデルフィアは名所・旧跡に触れる機会が多い場所です。 「自由の鐘」(Liberty Bell)という鐘もその一つです。
この鐘はイギリスで作られ、1752年にフィラデルフィアに届けられました。 しかし、最初の鐘はたった一回鳴らしただけで、ひびが入ってしまいました。2度、3度と製造を繰り返し3度目で満足のいく鐘ができたそうです。 この鐘はアメリカの歴史の節目ごとに鳴らされていました。 大きなひびが入っていますが、これが「自由の鐘」の大きな特徴です。 東京・千代田区の日比谷公園にもこのLiberty Bellのレプリカの「自由の鐘」があるそうです。
筆者撮影 リバティーベル
現在「自由の鐘」は、リバティーベルセンターに展示されています。 リバティーベルセンターは、ジョージ・ワシントンがフィラデルフィアに住んでいた時の屋敷に隣接しており、ワシントンの家であったと思われる基礎の部分が発掘されてそれも見ることができます。
筆者撮影 家の基礎部分
アジア学会に参加して学んだのは、どういう事象でも研究の対象になりうるのだなあということでした。 そして、一見関係のなさそうなことでもどこかでつながりがあるという事でした。 それを感じたのは、二つの全く違うテーマのセッションに出席した時です。一つ目のセッションでは福島県をとりあげていて、質疑応答では発表内容とは関係ないのですが、汚染地域から離れない地元の人(特にお年寄り)に関して、「危なすぎるのにどうしてそういうところに戻るのか」、という質問が出ました。 それに答えた研究者は「そこの土地に戻らないことがその人たちにとってストレスなのです。」と言われました。
翌日の二つ目のセッションでは、アジアの家族と性差についての発表を聴講しました。 その中でシンガポールに住むフィリピン人のメイドをとりあげた映画について話をした研究者がおり、フィリピン人メイドがどう異国で感じているかとのことで、その映画監督が”Emotion is affection.”と語っていた、ということでした。 私はその言葉が福島の人とつながりました。 ずっとその土地で過ごしてきた福島の地元の人たちには、汚染されようが危なかろうが、その土地に感情と愛情を持っており、簡単に割り切れないものなのだろうなあ、と。もしかすると、こういう感じ方はアジア人に顕著なのかもしれません。
初めて参加したアジア学会(フィラデルフィア大会)でしたがこれまでにないとても良い経験をさせて頂いたと思います。
(M.U.)