占領下の接収建物

日本の占領期、国内の主要な建物や個人邸宅は進駐軍によって接収され使用されていました。ここNARA (National Archives and Records Administration) 5階に保管されている写真資料の中でもそれらの建物の写真を見ることが出来ます。その中でも、新古典主義的と言われるデザインや西洋建築デザインのビルディング、また洋館と呼ばれるモダンな邸宅など、当時の日本建築様式が垣間見られる建物が印象に残りました。今回はその一部をご紹介したいと思います。

 

第一生命館は、連合軍最高司令官総司令部(GHQ) 本部となっていた事で有名で、司令官のダグラス・マッカーサーと共に撮影された写真も見ることが出来ます。その設計を調べてみると1932年に設計図案を一般公募した後に建築家によって実施設計されており、外観はギリシャ風の円柱が立案されたものの、結局角柱が立ち並ぶものとなったとされています。もし、円柱の建物になっていたら皇居周辺の景観も随分変わっていた事でしょう。

 

Photograph No.287063 Air Forces Over Tokyo 8/1/1947, Box#559, Record Group 111-SC, National Archives at College Park, MD

 

左は明治生命館、説明書きには MEIJI Insurance Building Now Occupied By the U.S. Armyと書かれています。右は三井本館です。当時、館内の一部は国防省によって使用されていたことが書かれています。

二館とも現在は、重要文化財に指定されており重厚な佇まいは今も変わりません。

 


Left: Photograph No.290342 Meiji Insurance Building 10/12/1945, Box#571, Record Group 111-SC, National Archives at College Park, MD

Right: Photograph No.291018 Mitsui Building 12/20/1945, Box#573, Record Group 111-SC, National Archives at College Park, MD

 

左下の銀行倶楽部は、GHQ下のAmerican Red Cross Clubに割り当てられていました。右下の服部ビルディング(銀座和光)は、進駐軍向けの売店となっていました。

 


Left: Photograph No.291025 Bankers Club 12/18/1945, Box#574, Record Group 111-SC, National Archives at College Park, MD

Right: Photograph No.291017 The Hattori Building 12/19/1945, Box#573, Record Group 111-SC, National Archives at College Park, MD 

 

現在は愛知県の博物館明治村に移築されたフランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテルも兵士用宿舎として接収されていました。

 

Photograph No.291006 Imperial Hotel 12/16/1945, Box#573, Record Group 111-SC, National Archives at College Park, MD

 

こちらは、福岡市にあった旧末永邸です。写真は、米軍によって調査を受けた時のものです。和洋折衷された作りで、日本庭園と洋館のコンストラクションが目を引きます。昭和の名建築と称された建物も、現在は火災の為その姿を留めていない事はとても残念です。

 


Left: Photograph No.285563 Suenaga House 3/24/1947, Box#554, Record Group 111-SC, National Archives at College Park, MD

Right: Photograph No.285564 Suenaga House 3/24/1947, Box#554, Record Group 111-SC, National Archives at College Park, MD

 

今でも現役として活躍している建物や、面影を残しながらも資料館などへとその役割を変えていった建物、これらの建物もまた、時代に翻弄されたと言えるかもしれません。しかし、在りし日の姿をこのような形でも記録されていたことは嬉しく思いました。

また、ノスタルジックな外観が人々を魅了し、建ち続けて行くことでしょう。(TI)