アポロ11号

アポロ11号が月に着陸し、そして人類が初めて月面を歩いてから50年が経ちました。この50周年を記念して各場所で様々なイベントや展示などが開催されました。ワシントンDCのスミソニアン博物館が立ち並ぶナショナルモールでは、ワシントンモニュメントをスクリーンとして映像を映し出し、設置されたスクリーンとともに17分間の映像が流れました。

 

上の写真はそのイベントの様子の一部を撮影したものです。約555フィート(169メートル) の高さのワシントンモニュメントにサターンVロケットが映し出されています。

 

この”Apollo 50: Go for the Moon"のショーの様子はスミソニアンNational Air and Space Museumのサイトで閲覧ができます。https://airandspace.si.edu/go-for-the-moon

 

冷戦状態であった1961年、宇宙開発においてソビエトがアメリカを一歩リードしているさなか、大統領であったジョン・F・ケネディーがこの60年代が終わる前には人を月に着陸させ、地球に安全に帰還させると演説をしました。ケネディ大統領は1963年に暗殺されてしまい、彼はその後の宇宙開発の発展を見ることはできませんでしたが、その演説の通り、アメリカは1969年に人を月に着陸させ、無事帰還を果たしました。

 

米国国立公文書館に保存されていたフィルム映像とオーディオレコーディング(音声記録)がアポロ11号のドキュメンタリー映画に使用されたことを知り、米国国立公文書館にどういった資料があるのか興味がありましたので少し調べてみました。米国国立公文書館にはRG255(National Aeronautics and Space Administration:航空宇宙局、NASA)の資料群があり、アポロ関係の資料も存在します。オンラインカタログで検索すると映像や写真などの資料がオンラインで閲覧可能なものもあります。

 

1969年7月16日、フロリダ州のケネディ宇宙センターから3名の宇宙飛行士、ニール・アームストロング、マイケル・コリンズ、バズ・オルドリンをのせ、サターンV ロケットが打ち上げられました。

 

 

Photograph of the Apollo 11 Crew: NRF-255-195C5;  Records of the National Aeronautics and Space Administration,1903-2006; Record Group 255; National Archives at Fort Worth[online version available through the National Archives Catalog (National Archives Catalog identifier 4957611 ) at www.archives.gov; July 30, 2019]

 

7月20日にアームストロングとオルドリンは着陸船イーグルに乗り込み、司令船コロンビアから離れ、月に着陸しました。着陸から約6時間半後の、アームストロングが月を歩く瞬間をアメリカ合衆国だけでなく世界中の6億人近くの人々が息をのみ見守っていました。この貴重な歴史的瞬間に立ち会った人々は新しい時代の幕開けを感じたのではないのでしょうか。

 

下の写真は当時の大統領ニクソンの執務室です。テレビが置かれ、大領領が、月にいるアームストロングとオルドリンと電話で話しています。また、その下の写真は、その日のニクソンの日報です。“11:45-11:50 The President held an interplanetary conversation with Apollo 11 Astronauts, Neil Armstrong and Edwin Aldrin on the Moon.” と会話をしたことが書かれてあります。

 

 

President Richard Nixon Speaking by Telephone to the Apollo11 Astronauts on The Moon:WHPO-1577-12 ;White House Photo Office Collection (Nixon Administration);Richard Nixon Library [online version available through the National Archives Catalog (National Archives Catalog identifier 66394155 ) at www.archives.gov; July 30, 2019]

 

President Daily Diary :Records of the Office of Presidential Papers, 1969-1974; Richard Nixon Library[online version available through the National Archives Catalog (National Archives Catalog identifier 595079 ) at www.archives.gov; Aug. 5, 2019]

 

7月24日に帰還した時、ニクソン大統領は回収船のアメリカ合衆国海軍航空母艦ホーネットに駆けつけました。このホーネットですが、硫黄島、沖縄戦などにおいて戦闘を担っており、第二次世界大戦の資料を見る機会が多かった私たちにとってしばしば目にしてきた船の名前です。下の写真はそのホーネットにて撮影されたものです。月から病原体を持って帰ることが予想されたため、3名の宇宙飛行士は写真にあるMobile Quarantine Facility (移動隔離施設)に入っています。

 

 

Photograph of President Richard Nixon Greeting the Apollo 11 Astronauts on the USS Hornet: 255-CC-67HC-802; Records of the National Aeronautics and Space Administration,1903-2006; Record Group 255; National Archives at College Park [online version available through the National Archives Catalog (National Archives Catalog identifier 17409727 ) at www.archives.gov; July 30, 2019]

 

映像や資料、また記事などを読むとNASA(航空宇宙局)はもちろんのこと、NASAだけではなく、ホワイトハウス、米軍海軍など国を挙げて、また、実に多くの分野の人々がこの計画を達成させるために携わってきたのだと感じました。

 

先ほど挙げたイベントの映像を見て、しばし息を止めて見入った場面もあり、歴史的瞬間に立ち会えたような錯覚をしてしまいました。(N.M.)

 

 

The Eagle Has Landed: The Apollo 11 50th Anniversary

https://prologue.blogs.archives.gov/2019/07/19/apollo-11-50th-anniversary/

Moon Rocks and Moon Germs

https://www.archives.gov/publications/prologue/2001/winter/nasa-lunar-lab

NASA

https://www.nasa.gov/mission_pages/apollo/apollo-11.html