米国の移動図書館の写真資料

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沖縄戦の中の子ども達

2024年という新たな年が始まったと思ったら、すでに3月半ばを迎えてしまいました。ワシントンDC周辺の桜も、来週にはピークになると言われています。

 

一方で国際情勢を見ると、ロシアのウクライナへの侵攻は丸2年を経てもいまだに続き、ロシアの反体制活動家のアレクセイ・ナワリスイ氏が北極圏の収監先で亡くなったことも衝撃的でした。また昨年10月のパレスチナのハマスがイスラエルへの大規模な攻撃を行い、それに対してのイスラエル側の報復も現在も続いています。米国に住んでいると、同じコミュニテイーに住んでいる近所の人々、また米国国立公文書館に出入りするリサーチャーの人々、また娘の大学の友人達の中には、こうした紛争国にルーツを持つ人々も少なくないし、彼らの血縁者や友人達も今もその紛争地で生活している場合もあるので、新聞やニュースで報道されている国際情勢も決して遠くの国のことではないことを日々実感させられます。

 

究極の暴力の中で、犠牲となるのは、兵士達だけでなく、一般の市民と子ども達であり、それは、日本がかつて体験した戦争の時代と重なります。そうしたことから、今回は、あらためて沖縄戦に巻き込まれた一般の人々に関する写真の中の、特に子ども達に関する写真をいくつか紹介したいと思いました。以下の写真のいくつかは、すでにいろいろな写真集でも紹介されてきたかと思いますが、あらためて原資料を見ると、大きなインパクトがあり、私達は今後も謙虚にあの沖縄戦について学び続けなければいけないと思いました。

 

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戦後まもなくの水耕栽培

2024年もあっという間に2月の半ばを迎えてしまいました。まだ寒い日もありますが、庭のふきのとうも芽を出し、少しずつ春が近づいているのを感じます。そろそろ裏庭での家庭菜園について何を育てるか、種を買うか、苗を買うかも含めていろいろ考えなくてはいけない時期になってきました。基本的には、私の家の家庭菜園は、土を使う、土耕栽培です。が、近年では、世界的には、土の代わりに、水と養液(液体肥料)を使い、野菜を育てるという、水耕栽培が、広く知られつつあるようです。そうした水耕栽培に適する葉野菜、適さない根菜などの違いもあると思いますが、そうした水耕栽培についても、もっと知りたいと思うようになりました。

 

水耕栽培は、古代のエジプトや、イラン、中国、そして南米でも存在していたようですが、現代の水耕栽培の技術の確立の最初のきっかけとなったのは、19世紀半ばに活躍した、ユリウス・フォン・ザックス(Julius von Sachs: 1832-1897)というドイツの植物生理学者が、植物の成長によって必要な栄養素(窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、S(硫黄)、Fe(鉄)など)を特定し、水耕栽培を使っての実験と研究を行ったことでした。(参照: “Plant sulfur nutrition: From Sachs to Big Data”  Stanislav Kopriva, Plant & Signaling Behavior, Vol. 10, Issue 9, 2015:https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/15592324.2015.1055436

 

そして、1930年代には、アメリカ人でカリフォルニア大学の植物生理学の教授であったウイリアム・フレドリック・ゲーリッケ(William Frederick Gericke:1882-1970)が、ギリシャ語で水を意味するハイドロ(hydro)と、働きを意味するポノス(ponos)を組み合わせて、水の働き、つまり、水耕栽培を意味するハイドロポニクス(hydroponics)として、その本格的な研究を行い、できるだけ早く、かつたくさんの植物や野菜を育てることを目指しました。

 

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アジア美術博物館の1つであるフリーア・ギャラリー

新年早々、能登半島の大地震、そして羽田空港での民間機と海上保安庁の飛行機との衝突事故と

いう大惨事が起こり、犠牲になられた方々には心より深くご冥福をお祈り申し上げます。また、今も大変な困難な状態にある被災者の方々にも心よりお見舞いを申し上げます。

 

ワシントンDCのスミソニアン博物館群には、ホロコースト博物館、航空宇宙博物館、ナショナル・ギャラリー(美術館)、アメリカ歴史博物館、アメリカ自然史博物館、アジア美術博物館、アメリカ・インデアン博物館、アフリカン・アメリカン博物館があり、どの施設も見ごたえのある素晴らしい展示会場になっています。

 

今回は、それらの中の、アジア美術博物館(National Museum of Asian Art)を構成する2つのコレクションである、フリーア・ギャラリー(Fleer Gallery of Art) とサックラー・ギャラリー(Arther M. Sackler Gallery)のうち、昨年、創立100年を迎えた、フリーア・ギャラリーと先日見てきた展示の一部についてご紹介をしたいと思います。

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